「全然大丈夫ですよ。
俺が責任もってきちんと教えるんで」
「さすが藤宮くんね。助かるわ。実はわたし別の仕事が立て込んでいてね。
じゃあ有栖さん、わからないことがあったら藤宮くんを頼ってね?」
こうして先生は五分たらずで、教室から去って行ってしまった。
まさか、こんなかたちで凪くんと二人っきりになるなんて。
嬉しい反面、さっき逃げるように質問に答えなかったことへの気まずさがある。
だけど、凪くんはまるで何事もなかったかのように、課題のプリントに取りかかろうとしている。
そんな姿を見て、わたしも何も言わず問題を解き始めた。
静まり返った教室の中、外からセミの鳴き声が、うるさいくらいよく聞こえる。
おまけにさっきまでよかった風通しはすっかり悪くなってしまい、暑さだけが残る。
暑くて集中力が下がってしまう。

