返答に困っていると、
絶妙なタイミングで教室の扉が開いた。


その音にびっくりしたわたしは、
すぐに凪くんと距離をとる。



「あら、二人とも早いのね」


扉を開けたのは五十嵐先生だった。


壁にかかる時計を見れば、
補習開始時刻の三分前。



すぐに自分の席に戻って、
内心助かったと胸をなでおろして着席した。



少し遅れて、凪くんがわたしの隣の席に着いた。


そして、時間になり補習が始まった。



初日の科目は英語。
わたしがいちばん苦手な科目だ。



プリントが数枚配られて、それを全て終わらせるまで帰れない……。


さらっと目を通したけれど、自力ではとても解けそうにない。



「じゃあ、午前はこれだけ頑張ってね。本当は先生が付き添いで教えようかと思っていたんだけど、藤宮くんがいるから有栖さんのことお任せしていいかしら?」


えぇ……!
そんな簡単にお任せされちゃうの?