「あ……お、おはよう、凪くん」


わたしと同じ高校に通っている二年生で、
クラスメイトでもある藤宮凪(ふじみや なぎ)くん。


さらっとした少し明るい髪色に、ぱっちりとした綺麗な色の瞳。


顔のパーツはどこを見ても完璧で、
逆に欠点を探すほうが難しいくらいの整った顔立ち。


背だってとても高くて、いつもわたしが見上げないと凪くんの顔は見えない。



今も満員電車の中だっていうのに、背の高い凪くんは周りの人に埋もれることなく、涼しい顔をしてつり革を握っている。



「有栖ちゃんは小柄だから、これだけ人がいると埋もれて大変だね」



そう言いながら、わたしが人混みに埋もれて苦しくならないように、

いつも立てる場所をさりげなく作ってくれるのが凪くんの優しいところ。



「えっと、いつもごめんね」


「ん、いいよ。有栖ちゃん見てると危なっかしくて放っておけないし。守ってあげたくなる」