「有栖ちゃんが落ち込んでたから」

「え?」


すると、わたしとの距離を少しだけ詰めて、
凪くんの大きな手がわたしの頭をそっと撫でた。


「補習っていっても、結局は学校で自主勉みたいなもんじゃん?一人でやるのつまんないでしょ?」


その問いかけにコクリと首を縦に振る。


「だったら、俺が有栖ちゃんに勉強教えてあげるから。一人で勉強するよりは俺がいたほうがマシになったりしない?」


目線を凪くんにしっかり合わせると、
優しくふわっと笑ってわたしを見ていた。


その笑顔を見て、胸のときめきが加速した。



「で、でもそれじゃ凪くんに迷惑かけちゃう……」


「いいんだよ、迷惑かけてくれて」

「え?」


「有栖ちゃんは俺にとって特別な子だから。
もっと迷惑かけてくれてもいいのにっていつも思うよ」


「っ……」