君が可愛すぎるから




驚きがわかりやすく顔に出ているであろうわたしの耳元で、京香がコソコソと話してきた。


「藤宮くんって好きな子いるんだね」

「そ、そうみたい……」


「もしかして、その好きな子が心結だったりするんじゃない?」

「な、ないない!」


反射的に大きな声で否定してしまい、
ハッとして自分の手で口元を覆った。


チラッと凪くんと木下くんを見てみれば、
二人とも不思議そうな顔をしてこちらを見ていた。


すぐに二人から目線を外そうとしたら、
一瞬だけ凪くんと目が合った。


そして、軽くフッと笑った顔が見えた。



「俺の好きな子さ、すごい可愛いんだよね」


凪くんが少し大きめの声で言った。


木下くんだけに聞こえる声の大きさで話せばいいのに、わざと大きく声を出しているように聞こえた。