二人はわたしが座っている席まで近づいてくる。
「凪さー、お前いい加減教えてくれてもいいだろー?」
「無理」
何の話題なのか、途中から聞いているわたしには内容がさっぱりわからない。
何を話しているのかなって気になってしまう。
そのまま木下くんは私の前の席に、
凪くんは木下くんの隣の席に。
わたしの席から見て凪くんは斜め前に座っているので、いつも授業中に後ろ姿とか、
たまに横顔が見られたりして、勝手に得した気分になっている。
「なんで教えてくれねーんだよ」
「千瑛には関係ないし」
「んだよ、冷たいなー」
木下くんが不満そうに愚痴を漏らしている。
「誰か教えてはくれないけど、
好きな子がいるのは認めるんだよな?」
「……認めるけど」
えっ……!
思わず声を出しそうになったけど、なんとか抑えることができた。
どうやら、話題は凪くんの好きな子についてのよう。

