それから、しばらくの間
私は、降谷 恭斗と香西 桃乃の恋を
観察し小説を書き進めた。

読み返してみると違和感に気付く。

全体的に幸せな気持ちが足りない。
いつもは、胸を焦がすような
恋愛を書いてきたのに
降谷 恭斗をヒーローにすると
愛が足りないような気がした。

やはり、今でも私は
降谷 恭斗の事が嫌いなのか。
あの男の幸せを書こうと思ったが
あの男が幸せになる姿を
想像出来なかった。

七海「絆。小説はどう?」

絆「ダメだ。あの男を
ヒーローにすると幸せな話が書けない。
私はやはり降谷 恭斗の事が
嫌いなのかもしれん。」