教師な彼と引っ込み思案な私



間が空けば空くほど早く喋らなければと思い、更に焦ってどうしようと思っていると前の方で中野くんが立ち上がり

「先生ー、そこの部分俺得意なんで代わりに言ってもいい?」

と言ってから先生の了解も得ず

「南は座っていーよ。俺が言いたいから」

いわれるがままに席に着くと

「聖太くん優しぃー」

「カッコいいぞ!」

などと冷やかしの言葉が聞こえてきて彼のお陰で私から注目がそれて中野くんには悪いけど安心してしまった。


彼はそんな言葉を気にもとめず古文を読んでいったが

「中野くん、それは竹取物語ですよ。
今は源氏物語の授業です」

そう、彼は竹取物語の冒頭部分を音読していた。