結構な音を立てたのでみんながこっちに注目している。
沢山の視線がこっちに向いていて恥ずかしくてどうしても俯いてしまう。
私に声をかけてくれたのは中野聖太くん。
あまり話した事はないけれど顔は整っているし、話しかけやすいのでクラスの人気者。
私とは正反対。
だから私とのツーショットは珍しい。
「どうした聖太。南と登校か?」
「違うわ。南が教室の戸の前で突っ立ってブツブツ言ってるから俺が声かけただけだっつーの」
「それより今日の宿題見せて」中野くんはそんな視線に慣れっこなのか「またかよお前」と言われながらスタスタと教室に足を踏み入れていた。