広瀬くんは、いっぱい食べる私が好き

うう……。
私が大食いなのは事実だし、長森くんも悪気がないのはわかるんだけど。
なんだかすごく食べにくい。

「長森。さっきから日下部さんに失礼だろ。あとそんなじろじろ見るなよ」
「!広瀬くん……」

広瀬くんがかばってくれた。
……恥ずかしい、けど。うれしい。
胸がじんと温かくなる。

というか
食べているとこ見てくるのは広瀬くんも同じなんだけど。
でも、なんだろう。
広瀬くんに見られるのはあまり嫌じゃないのかもしれない。
恥ずかしいのは同じなんだけれど。
広瀬くんのときは居心地の悪さは感じなかった。
どうして……。

「うーん。俺、そんなつもりなかったんだけど……ごめんな日下部さん。気い悪くしないでくれよな」
「あ、ううん。大丈夫。私が大食いなのは本当だし。あはは、いつも食べ過ぎなんだー」
「そんなことないよ。僕はいいと思うよ」
「え……あ、はは。そうかな」

広瀬くんのフォローに顔が熱くなる。
すると広瀬くんも顔を少し赤く染めた。
眼鏡を指で押し上げ、私から目をそらす。

「く、日下部さんは健康だし、身体に悪影響がない程度なら……その……おいしく食べることはいいと思うんだ……」
「う、うん……ありがとう」
「うん……」

「……え、なんかお二人さんいいムードじゃねえ。二人ってそうなの?俺ジャマ?去った方がいい?」

長森くんがにやついた顔で広瀬くんを小突いた。