「……うん、わかった。次は来週の日曜日だけどいけそう?」

「えーと、……大丈夫。空けておくよ」

「わかった。よろしくね」

「うん」

そのまま見つめ合う、私と広瀬くん。

眼鏡の向こうに黒い目。

こんなふうに広瀬くんの瞳をじっと見る日が来るなんて。

今日だけで、私と広瀬くんに2つの繋がりができた。

なんだか嘘みたいだ。

……広瀬くん。

どうして私にお料理を食べてほしいと言ったの?

私がいっぱい食べるから?

食べる様子が好きだから?

それとも……

「日下部さん」

「な、なにっ?」

「……昼休みもう少しで終わるけど、もう一つのお弁当大丈夫?」

「あ、え、あー!お父さんのお弁当!

い、いただきまーす!」

広瀬くんのは全部食べたけど、もともとの私のものはまだ手付かずだった。

昼休みはあと10分とちょっと。

早く食べないと。

「じゃあ、僕も食べようかな」

広瀬くんが自分のお弁当のふたを開けた。

なんと広瀬くん自身はまだ食べていなかったようだ。

自分が食べるのに夢中で気づいてなかった。

私って……本当にぼんやりしているなあ。