「私のお父さん主夫でいつもは家でお料理とかお洗濯とかしてるんだけど、二週間に一度知り合いの人たちにお料理教室みたいなことをしているのー。……といっても、みんなでわいわい料理するっていうほとんど趣味みたいなものなんだけど……」

「……」

広瀬くんの瞳に興味の色がみえる。

「それでよければ広瀬くんも参加してみないかなーって。

あ!でもお父さんと同い年くらいのおじさんおばさんばっかりだから、もし馴染みにくいかもって思うなら、私と一緒にアシスタントとかでもいいし!………って、アシスタントしてもらっちゃったら私からのお礼にならないか……」

お料理好きな広瀬くんに喜んでほしいと思って提案したけど、よく考えると却って迷惑かもしれない。

自分でもなにを言っているのかよくわからなくなってきた。

「……あ、あはは。ごめんね、広瀬くん。気にしないで」

「僕は参加したい」

「え?」

「あ、その……もしご迷惑じゃないなら、参加したいな」

「迷惑なわけないよー!私から誘ったんだし」

「……そっか。それなら」

広瀬くんがゆっくりと深くうなずく。

そして柔らかい笑みを浮かべた。

「よろしくお願いいたします。日下部さん」