広瀬くんは、いっぱい食べる私が好き

「…………えーと」

お弁当をほとんど条件反射で受けとる。

ずっしりした感覚。

うん。

間違いなくお弁当だ。

手からお弁当箱が離れた広瀬くんは、その両手を膝の上に。

グーに握られた手が彼の緊張を表しているように思えた。

二人して少しの間沈黙する。

妙に張りつめた空気が私たちの間を流れていった。

「あの……広瀬くん」

「うん、なに?」

「私が食べていいの?」

「もちろんだよ」

広瀬くんがうなずく。真剣な表情で。

「広瀬くんが作った、の?」

「ああ」

「……広瀬くん、料理好きなんだね」

「うん、そう。……そう、僕……料理が……好きなんだ…….」

ゆっくりうなずいたあと、たちまち広瀬くんの顔が赤く染まった。

落ち着かなく、眼鏡を指でおしあげる。