広瀬くんは、いっぱい食べる私が好き

いつもお弁当にくわえて、食堂でもカレーやランチセットを食べている。

食堂で食べないときはパンを三、四個追加してみたり。

お父さんのお弁当+学校でなにか調達、がお決まりのランチだ。

ちなみに一度満足できるくらいお弁当を用意してもらったら、巨大弁当箱ふたつになり、毎日持っていくには重すぎたのでやめた。

……そんなわけで

中庭に来る前にパンを買うべきだったのだけど、舞い上がってうっかり忘れてしまった。

早く行かないと購買売り切れちゃう。

「あ、あの広瀬くん……。私、ちょっと……」

「日下部さん……!その、君にたのみがあるんだ」

「……へ?」

私にかぶるように発せられた広瀬くんの声。

それは一度も聞いたことがないくらい緊張でうわずっていた。

広瀬くんがこんな様子を見せるなんて……

「突然ごめん。でも前から思っていたことなんだ……」

「ひ、広瀬くん……?」

「日下部さん。

……君に僕の料理を食べてほしい……っ!」

「…………………へ?」

広瀬くんの手にはお弁当箱。

黒いプラスチックの一段タイプのもの。

それが私に差し出されていた。