広瀬くんは、いっぱい食べる私が好き

(ひゃー!!)

そうだよね。バラバラに行って待ち合わせするのが一番人目につかないし、いいよね。

うん、わかる。

でも今のはなんだかものすごい秘密を共有しているみたいで

すごい……

ドキドキした。

(……あ!いや、それよりもう行こう!広瀬くんも中庭に着いただろうし、あまり待たせると悪い)

いつも通りお父さんお手製のお弁当を持って教室を出る。

中庭は渡り廊下から出るのが早い。

階段をおりて、下足場とは反対に進む。

すぐに古い池と、緑に囲まれたベンチが見えてきた。

(……えーと。広瀬くんは……)

明るい日差しの下、約束した相手の姿をさがす。

すると端のベンチにまっすぐな背筋を見つけた。

ドキドキと、緊張かそれとも違う理由かわからないけど高鳴る胸をおさえながらそばに向かう。

広瀬くんは私に気付き、はにかむように笑った。