広瀬くんは、いっぱい食べる私が好き

チャイムが鳴り響き、授業は終了する。

一気にさわがしくなり、それぞれ動き出す。

ランチタイムの始まりだ。

「……じゃ、いってくるね和花。一緒に食べれなくてごめん。あと、ナイス腹音!」

「やよいー!」

失礼なセリフを残し部活に向かう弥生を見送り一息つく。

……さて、どうしようかな。

いや、もちろんこれから広瀬くんとごはんなんだけど。

どこでどうやって食べるのかな。

教室で食べたら噂のマトだし。

一緒に食堂とかに行くのも目立っちゃいそうだし。

だって広瀬くん、なんだかんだ有名人だしモテるんだもん。

「……日下部さん」

「は、はい!」

ごちゃごちゃ考えていたら広瀬くんに声をかけられた。

広瀬くんは席から立ち上がり、私のそばを通るとき

「……中庭で待ってるね」

と小さくささやいた。

ふわりと軽く息がかかる。