広瀬くんは、いっぱい食べる私が好き

「……!」

もう一度、広瀬くんを見やる。

やっぱり黒板に向いている顔。

でもこちらに向けられる視線。

それが私のものと絡み、広瀬くんの耳がかすかに赤く染まった。

私も顔がほてってくる。

……お昼を……一緒に。

メモの文章を確認する。

形の整った、きれいな文字。

広瀬くんらしい。几帳面な感じの筆跡だ。

私はその下に返事を書く。

たった数文字なのに、書道の授業の何倍も緊張した。

『いいですよ』

それを広瀬くんの机の端に置く。

ちょっとだけ……手が震えた。

こんなの初めてだ。

広瀬くんがメモを開く。

私の文字を読んでいるのがわかる。

私はそんな彼の横顔を見つめていた。

ドキドキして落ち着かないのに、そらすことができない。

やがて広瀬くんはこちらにしっかり顔を向け、ニッコリ笑った。

本当に嬉しそうな顔で。

そして口だけ動かして、言葉をつむぐ。

声は出ていないけれど、なにを言っているかはわかった。

『あ り が と う』

顔のほてりが強くなる。

赤くなっている頬を見られるのが恥ずかしくて、私はうつむくように頷いた。