広瀬くんは、いっぱい食べる私が好き

パチッ

ばっちり広瀬くんと目があう。

広瀬くんもこっちを見ていたみたいだ。

「………」

「………」

数秒。声もなく見つめあった。

頬が熱くなっていく。

広瀬くんはニコッと微笑み、視線を黒板に戻した。

「……和花?どうしたの」

「あっ、ご、ごめん!なんでもない」

私も弥生との会話に戻る。

まだちょっとだけ頬っぺたに熱が残っている気がする。

(……広瀬くん、私の叫び声聞こえていたかな。聞こえていたよね、多分、きっと……)

……その答えは次の授業ですぐにわかった。

授業中。

私の机の端に、折り畳まれたノートの切れ端が置かれたのだ。

差出人は隣の席。

そう広瀬くんだ。

(え、え!これって……)

広瀬くんの様子をうかがうと、いつものようにまっすぐ黒板を見ている。

だけど時折こっちを気にするみたいに視線を向けていた。

私はドキドキしながら、切れ端を開く。

そこには『よければ明日一緒にお昼食べませんか』と書かれていた。