あかいろのしずく


「わたしは辛くないよ。辛いのは先生だ」

「何を言っているんですか?」

「分かんない? 先生ってそういうことには鈍いのね」



まるでかみ合わない会話に、僕は呆れて返す言葉もなくしていました。

そして純は、僕が何も言わなくなると「あのね」と切り出しました。まるでその機会を待っていたかのように、純はわくわくした表情でした。




「DVって結構多いらしいけどね、身近に受けてる人がいるかって言われたら分かんないでしょう? 実際先生も、今まで気づかなかったし」

「......」

「わたしの扱いとか難しいんじゃないかな。わたしがミナト先輩に酷いことされてるから、気遣わないといけないとか思ってるんじゃない?」



確かに、そうです。