あかいろのしずく


そしてそれは、正しかった。



「どこに行くんですか?」

「どこだと思う?」

「地獄ですか?」

「そうだよ。正解」



純はよく分かったね、と驚いて笑いました。

これから地獄までの道は誰も知らないし、秘密にしなければいけないらしいのです。僕は純に目を閉じるように言われていました。純に手を引かれて、歩いていました。

だからあの泉の前からここまで歩いてきて、今僕は、自分がどこにいるのかさえ分からないでいます。変わらないのは、洗脳するような濃い花の香りだけ。

しばらく、歩きました。
まだその匂いは途切れないうちに、純が僕の手を離しました。



「言い残すことはないですか」



純が強い口調で僕に語りかけます。
僕は目を閉じたまま「ありませんよ。今までありがとう」それだけ言いました。