左右の景色が瞬く間に流れていく。



いくつか木の大きな影を踏んだ後、立ち止まって息を切らしながら振り返る。木々の緑に埋もれて、もう山の中の校舎は見えなかった。


足元に視線を落とせば、体の影が大きく上下に揺れていた。私が息をするのと同じスピードだった。心臓がどきどきして、体全体で鼓動している気がした。


つま先の数センチ先に迫った木の影。

葉っぱの間をすり抜けた日の光がきらきらと地面を照らして揺れていた。その影の奥には、横に木も立っていなければ、大きな影もない明るい日向の道が続いている。