立ち上がって赤色の雫を掴み、手紙と共にポケットにしまう。自分のクラスの教室に行って鞄を背負い、教室のドアを再び速足でくぐる。
泣くな泣くな。ゆっくりでいいから、急がなくていいから。
私は今私にできることを、やるだけだ。
泣きそうになってもぐっと堪えて、廊下を過ぎていく。階段を下りながら時間を確認すればまだ朝の十一時。下駄箱からローファーを取ってコンクリートの上に落とすと、それを履いて昇降口を飛び出した。
会いに行きたい人がいる。
会いに来いと言った人がいる。
実は文通している中で初めて知ったことが二つある。彼は私の一つ年上だったらしい。まさかとは思ったけどさゆりさんに確認したら本当にそうだった。
十日あったのに気づかなかったのだ。同級生だとばかり思っていたから、私はずっと君付けで呼んでいた。生意気だな、なにしてるんだ私。



