諦めたらどう?
そう言って東が、私の背後で笑った気がした。




人生なんて失敗ばっかりだ。何が起こるかも分からないし、泣いてても何も変わらない。そういうこと? もう泣くなってこと?


普段そういう本音は言わないくせに、なによ。会いに来いなんて。まるでずっと、逃げていた私のこと見てたみたいじゃん。変なの。

不覚にも笑ってしまった。バレてたのか、そうだったら馬鹿みたいだと思った。そしたら途端に気持ちがすっきりした。


もういいだろ。今の今まで引きずって逃げてて苦しいだけだったんだ。そろそろ勇気を出して頑張ろう。それこそ彼も怒り出すぞ。



私は制服の袖で目元をごしごしと拭う。布と擦れた肌が痛いけど、もう気にしない。