あかいろのしずく


いつものように封筒を開ける。
すると自然と、すっと気持ちが明るくなった。

それは私がいつも楽しみにしていたからだろう。あの事件からしばらく経って、週に一度か二週間に一度か、私の元にさゆりさんを介して手紙が届くようになった。



小さな封筒の中には一枚のメッセージカード。



――――

そういえば
もうすぐたんじょう日らしいな
先に祝っておくよ おめでとう

        東
――――





「......なんで先に祝うかな」



呟いて「ふ」と笑みがこぼれた。

素っ気ないようなあったかいような言葉。字はひらがなが多くてガタガタで読みにくいけど、頑張って書いてくれたんだって分かる。

確かにもうちょっとで私の誕生日だけどさ、もっと他になんかなかったの。