嫌。いやだ。いやだいやだ。
そんなの知らない。私のせいじゃない。
純が私に託したのが悪い。
先生は自分の意志で私達を巻き込んだんだ。
それで私達は逃げようとしたんだ。酷い目に遭ったのは状況が状況だったから仕方ないんだ。先生が死んだのは事故だった。アズマがあんなことになったのも、私のせいじゃない。私のせいじゃない。
私の......ために。
その時だった。
胸ポケットから白の封筒がこぼれて、リノリウムの上に落ちる。カサ、と乾いた音を立てて。
その小さな音に気づいて、嗚咽するのを止めた。すぐには止まらなかったけど、ここで我慢しなくてはいけないと思い、ゆっくり息を吸って吐いた。
それは少し前からさゆりさんから受け取っているものだった。
震える手で持ち上げて涙を飲み込む。



