けど、私が言い出さなかったせいで、純の手紙は先生のもとに渡ることもなかったし、みんなあの事件で見えない傷を心に負ったし、怪我もして、痛い思いも苦しい思いもしたし、先生は最終的に命まで落としてしまった。
これのどこがハッピーエンドなんだろう?
あの事件からもういくつも時が過ぎて、落ち着いてきたと思っていたのに、今になってようやく本当のことを知るなんて。
あの十日間の間、私は何を守ろうとしていたのだろう?
何を流されていたのだろう。誰も本当のことを話さないからと言い訳して、どうして話さないでいたのだろう。
なんとかして渡すまいとしていたのが、それこそ間違いだったのだ。



