渡り廊下の窓から見える生徒玄関。
黒の筒を持っている先輩たちの顔はきらきらしていて、眩しかった。写真を撮るひともいれば泣いているひともいた。
空は晴れ渡り雲一つない青空が広がっている。
まだ桜は咲いてないけれど、卒業式には持って来いの日だった。私も自分の高校生活の終わりが、こんな素敵な日なら良いのにと思い窓に手をついた。
「あ、ナナカ先輩!」
呼ばれて今度は後ろに振り向く。そこにはまた、さゆりさんのようによく知る顔があって。
「紗季(さき)ちゃん。こんにちは!」
「こんにちは! ほら祥(しょう)ちゃんも挨拶するんやで!」
「......こんにちは」
制服に身を包む紗季と祥人の姿。紗季は祥人の服の裾を握り、祥人はというと目に涙を溜め、紗季の一歩後ろにちょこんと立っていた。



