感謝している。本当に、優しいさゆりさんは憧れだったし、尊敬もあったし、大好きだ。

泣きそうになっているさゆりさん。
その時、階段の方から別の先輩が顔を覗かせた。



「さゆり、ほら、写真撮るから早く来て!」



友達なのだろう。さゆりさんがハッとしてそちらに振り向く。それから涙で潤んだ目を細め、笑った。



「うん、ごめん! もう行くから!」

「おー! 先行って待ってるよ!」




パタパタと階段を下りていく足音。三年生の去った場所は教室も廊下も空っぽで、人気があまりない。なんだか寂しいように思える。

さゆりさんがもう一度、私の方に振り返った。



「ありがとう、七香ちゃん」