あかいろのしずく


もう火がついてから三十分は経っている。
意識を失っていたのは恐らく数分かもっと短いだろう。


どうでもいいか。もう大事なものも奪われたし、どうにもならないか。
こんなどこを見ても火、火、火、の部屋だ。もう無事でいられるなんて嘘でも思えない。


さて、西平はどこにいるのだろう?

もう外に出ているかもしれないが、もしかするとまだ中にいるのかもしれない。いや、中はないか。玄関から逃げたんだろうな、きっと。



そう思いながら、俺は起き上がった。真っ赤な部屋だ。熱いし異臭もする。精神に異常をきたしそうな部屋だと思った。

眩暈が酷い中、倒れそうになりながら火で覆われたドアに手をかける。ドアノブが異常なほど熱かったが、もう足の痛みでそれどころじゃなかった。手はやけどしただろうけど、もういい。