予想していなかったこと。たぶん、ここまで来てそれを知って何になる、とでも言いたいんだろう。そしてその予感は見事に的中する。



「それは必要なこと? そうじゃないこと?」

「今後の決断においては、重要かと」

「......」



私は先生の座っている椅子の隣に腰を下ろした。冷たい床の温度が伝わってきた。
私が返答を待っている間、先生は真剣に何かを考えていた。


そろそろ何か変化が欲しかったところだ。丁度いい。
先生の話を聞いてどう思うか、が判断の基準。

同情なら「話す」ことも考えよう。
その他ならその選択肢は切り捨てる。このままの状態を続ける。

これは賭けだ。



先生はしばらくの沈黙の後、「分かりました」と答えた。