普通に歩いてもどうだろう。三十分以上はかかるだろうけれど、こんな中じゃもっとかかる。一時間以上歩き続けなければいけない。



「そういえば、なんでこんな夜中にしたんですか?」

「追々話すから歩け」

「......。ハイハイ」



こけそうになりながら前に進む。坂道になれば頭上を木々が塞ぎ、月明かりも無ければ、体温は奪われ、体力も奪われていく。寒い。肺が凍り付きそうだ。息が震える。手先の感覚がもうない。

そんな中で思い出すのは三人のこと。


俺のせいでこんなことになって、残されて、西平の監視を今までずっと受けていた。まだ、俺達がこんなことになっても、諦めないでいてくれているだろうか。


サユリ、サキ。そして、




『なにがあっても、諦めない』




――――ナナカ。