あかいろのしずく

大学を卒業する手前まで、そうだった。
藤谷はなんだか複雑な気持ちだった。このままでいいのかと思った。

それで迷った末に、ようやっと、卒業の当日に告白した。


結果は駄目だった。


けれど藤谷は満足だった。自分の気持ちを伝えられて嬉しかったし、その後も友達でいようと西平が言ってくれたからだった。藤谷はもうこれ以上は望まないでおこうと、その時心に決めた。




そのまま十数年時が過ぎ、西平から電話がかかってきた。


西平の好きな人が死んでしまったらしい。
そしてこれを話したのは藤谷が初めてだという。藤谷は焦った。自分はどうしたらいいのだろうと思った。

藤谷は手伝えることならどんなことでもすると言った。またどこかカフェにでも行こう。そして何があったか話してほしい、と。