いけ、と心に願う。
もうあと四十秒もない。それなのに藤谷は、沈黙した。
「どうしたんだよ、早く正解を教えろよ」俺が早口で言うと、藤谷は口を開いた。
「吾川くんは、恨んでるの?」
その時は藤谷に空気を持っていかれた気がした。息ができなかった。
一瞬冷静になって考える。
恨んでる? 純が死んで俺達がこんな目に遭ったから、恨んでるってことか?
そんなわけない。
他の奴が全員そうだとしても、俺は違う。あいつはミナトの友達なんだ。あいつが一番辛かったはずなんだ。
どういう原因でああなったかは詳しくは知らないけれど、俺はこんな誘拐までされても、あいつを責めたことは一度もない。
ただの、一度もないんだ。
「......。すみません」



