そのままいつか、今の現状も立場も、誘拐のことも、みんなとの約束も辛いことも、痛みも自分の弱さも全部誤魔化して、藤谷によって癒されて失くして生きていくのだと。
それが、今までの苦しい生活とは真逆の、あまりにも自由すぎる生活だからこそ生まれた、甘えなのだとは感じながら。
ご飯を食べ終わって点滴を打つと、またいつものように横になる。
今日もまたこうやって、のんびりと時間が過ぎていくのだと思っていた。
「この計画が、誰のためなのか、考えたことはある?」
それはここに来て、初めて藤谷が俺に問った瞬間だった。



