ツー、と発信音が耳元で鳴り響く。
十円玉を入れると、受話器を肩と頭で挟んでジャンパーのポケットから四つ折りの紙を出して広げる。
ショウトの家の電話番号。もしかすれば、これで全てが終わる。
番号を打って祈るような気持ちで待った。きっとショウトなら出てくれるはずだ。根拠はないがそう思った。
そうして待っていたら、電子音が途切れた。
俺は期待した。そしたら次に音声が聞こえてきた。
《おかけになった電話をお呼びしましたが、お出になりません。発信音の後に、お名前と、ご用件を――》
静かに、受話器を下ろした。



