なんとかして外と繋がることができればと思ったが、そう簡単にはいかないようだ。もう帰ろう。きっともうすぐ日が変わる。


そう思い引き返そうと体の向きを変えた時、俺は視界の隅にきらりと光るものを見た。



ハッとしてすぐ、俺はそれを探した。それは簡単に見つかった。
十円玉だった。コンビニの明かりを反射してアスファルトの上に落ちていたのは、十円玉だった。


そんな小さな幸せさえ、俺は神にも感謝したくなった。
公衆電話で十円。いったいどれだけの時間会話できるのだろう? 一分か二分ぐらいか?


希望を感じてボックスの中に入る。俺は受話器を上げた。