コンビニが見えてきた。


全ての建物が沈むように影を落としている暗闇の中では、それは一際目立つ光を放っていた。別の世界から来たもののように感じた。眩しいなと思った。


そこに俺は、捜していたあるものを見つけた。それはどこにでもあるガラスの箱。中には隔離するみたいに緑の電話が一つ。


人が一人ちょうど入れる大きさの公衆電話のボックスだ。
俺は導かれるようにして、そちらに足を進めていく。





箱の中に入る前に、俺は「あ」と気づいた。
絶望した。


そういや公衆電話って、お金がいるんだったな。当たり前のことも忘れていた。
使えると思ったのに、とため息をつく。


ボックスの前に立ち尽くして、俺は中の電話を見つめていた。息はだいぶ落ち着いてきていた。