自分が一方的に何かされたって、陰口もなにも言わない。傷つけることもしない。 そんな綺麗な生き方を、誰が忌み嫌うのだろう? 「純ちゃんが好きなんだ。すげえ好きなの、離したくない」 ミナトがにっこりと笑う。 幸せな恋をしたんだ。でも、とミナトは続けて言った。 その頃には視界が白ばむくらいに、粉雪が舞っていた。空の淡い光を吸い込んで、つう、と頬をなぞった透明な雫。 「今ではもう、“ぶつける”の意味も分からなくなっちまった」 ミナトの目は、真っ赤だった。