「ん?」
聞き取れなくて聞き返すと、ミナトが目を細めた。
「俺の、誕生日だったんだな。忘れてた......」
ぽろぽろと、ミナトの目から涙がこぼれ出す。
今まで泣き顔なんて見たことがなかったから、俺はびっくりした。隣を見れば、純も目を見開いて驚いていた。
「ありがとうな......」
声が掠れていた。ミナトは救われたような顔をして笑った。
俺も純も何も言えないでいたけど、それでもいいと思った。顔を見合わせて笑った。
暗い廊下に光がさすと同時に、少年の潤んだ目に光が宿る。それはとても、きれいだと思った。
ミナトが久しぶりに笑った。
それだけのことなのに、俺まで救われたような気がした。



