心臓の鼓動は、いつの間にか速くなっていた。
調子に乗って行動すればこれだ。しくじった、と拳を握る。



一瞬、逃げるかどうか迷った。
それで俺は少しの間の後、逃げよう、と思った。


しかし、後ろに下がって振り返ろうとした途端、点滴のスタンドが倒れる。どうやら観葉植物の鉢に引っかかったらしかった。


そしてその瞬間、針の刺さっていた部分の皮膚に、針が食い込むような皮膚が引っ張られるような、何とも言えない鋭い痛みが走った。




「......っつ!」





あまりの痛さに声が漏れる。
藤谷が俺の方に近づいてくる。



どうする? 左腕が死ぬほど痛い。
針を抜いて逃げるか? けど捕まれば何をされるか分からない。





『あんたは、自分が三人を殺すかもしれないって思わないんですか』




不意にショウトの言葉が頭を過る。
ちくしょう、こんなところで。心の中で叫んだ。