診療所に来て二日目になると、何故か回復して気分が良くなった。
天気も晴れだった。
昨日は地獄だったのに、朝起きると何もなかったみたいに視界がクリアだった。副作用に耐性でもできたのかもしれない。とりあえずラッキーだ。
その日、俺は朝早く目が覚めたから、こっそり診療所の中を調べることにした。
電話や携帯さえ見つかれば、こっちのものだ。
藤谷に気づかれないように、手のひらに書いた文字は消して別の紙に書いて持っていた。ペンも紙も案外容易く手に入れられたからだった。
個室や受付など、隈なく調べた。
けれどどこにも、外と繋がることができるものは無かった。
それで俺は不意に思いつく。
藤谷なら、携帯を持っているんじゃないだろうか?
我ながら悪い考えだと思った。



