この脱出は完璧に成功させなければいけない。 今ドアを挟んで向こうにいる西平という男は、どうしても警察に捕まらなければいけない。ここにいてはいけない。 殺すとかそういうのじゃなくても、このまま事件ことを調べさせてはいけないんだ。そうなればいつか......。 『アズマ、頼むよ。お前しかいないんだ』 「頼む」 絞り出すような掠れた声で言う。 息が苦しくて目に涙が滲んだ。 「一つ、――――」 俺の頼みにショウトは、苦しそうな顔をして何か応えようとした。