あかいろのしずく


マズい、と心の中で呟く。むせた時みたいに咳が止まらない。
ショウトはさっきの呆れた様子とは打って変わってこちらを気にしていた。


せめて方法を伝えない事には何も始まらない。そう思い声に出そうとするも、すぐにそれは吐き出す掠れた息に溶けてしまう。



そしてそんな時に限って、いつも俺は運が悪かった。



コンコン、と窓のガラスをノックする音がして、右に振り向けば西平が立っていた。西平はドアを開けようとした。





俺はとにかく、必死だった。
ここに来てからずっと、何度も計画を練って何度も逃げることを考えた。