薬の効果が切れてから、隠すのだけで精一杯だった。
もう少し誰かに優しくしようとか、他のことなんて考えられなかった。
西平にここに連れて来られるまで、俺は家でずっと閉じこもっていた。怖くて震えるのも通り越して、体中が重くて寝込んでいた。
それもそうかもしれない。
事件が起きた日、色んな場所から生徒たちはその瞬間を見ていた。
俺はちょうど帰ろうとしていた時だった。
両耳にイヤホンをさして音楽を聴きながら、インターロッキングの上を歩いていた。片耳しか聞こえないイヤホンも、そろそろ卒業しようと思い始めていた。
そしたら次の瞬間、右隣のほんの数メートル先に、人が落ちてきたのだ。



