「一応ここにいる全員、カウンセリングが必要とみなされてるんですよね。それって、“あれ”を見てしまったから忘れられなくて、夜寝ることができないとか、ご飯が食べられなくなったとか、そんな症状があってもおかしくないってことじゃないですか」
「うん」
「それがないんですよ、オレ」
ポツリとこぼすその表情には、どこか寂しさのようなものが感じられた。
「軽症とか重症とか言ってたでしょう? あれです。サキの場合は動けない、話を聞いてくれない。あんたも最初、ここに来た時は重症だと思いましたよ」
違ったんですけどね、とショウトは苦笑混じりに話した。
そこで一つ疑問が浮かぶ。おそらく、だけど、
「ショウトくんのカウンセリングは念のため、だったとか?」
「......まあ、そんなもんです」



