あかいろのしずく

目が覚めて三十分ぐらいは過ぎたかもしれない。事が落ち着くと、ショウトは部屋の外にバケツを置いてきてくれた。


時刻は教えてもらって分かったが、夜中の二時だった。もう誘拐されて一日が経っていたのである。



サキちゃんのことでアズマの優しさは分かったが、ショウトも好青年だった。





汗を手で拭いながら「ありがとうね」ともう一度言う私に、ショウトは、



「どんな夢を見たんです?」



唐突に尋ねられ、私は静止する。ショウトは「うなされてましたよ」と言った。
うん、まあ、そうかな。人が死ぬ......これ以上怖いものって、きっとない。



「あの時の夢、見てた」



私がそう言うと、今度はショウトが表情を固くした。
ここにいる全員が体験した恐怖。私はあの日から何度も、これを経験してきた。


最近は治まっていたから安心していたけれど、まさかこんな時にまた見ることになるとは。