あかいろのしずく


その表情は陰に埋もれて見えなかったけど、私は構わずそちらへ助けを求めた。





「アズマくん、助け......」




助けて。そう言い終わるよりも先に、急に酷い吐き気に襲われて、私は固まってしまった。

彼はそれで異変に気づいたらしく、すぐバケツを渡してくれた。


それから何度かバケツに戻した。依然として夢を忘れることもできないで、苦しさやら恐怖やらで涙が止まらなかった。


またあの夢だ。



私ばっかりだ。なんなんだろう。
どうしてあの日“見た”だけで、こんなに苦しい思いをしないといけないんだろう。


冷静になれないまま、私は思っていることをぶつけるように口に出す。



「私が、なにか、ダメなことをしたの」