あかいろのしずく

「静かにしてね」とユズキに言っておいて、私は右手を彼女の口から離した。



自由になったユズキは、すぐに私に聞いてきた。
内容と差出人の名前と、場所と時間と......って多すぎ!


仕方がなくそれを渡すと、ユズキは面白そうにそれに目を通して、それから首を傾げた。



「差出人不明って......」



そう。名前が書かれていないのである。


ある一月の日の放課後。私、ナナカは人生初のラブレター(?)を経験したのだが、差出人が不明という事態。


いたずらなんだろうか、なんて思ってしまうあたり、私の恋愛に対する鈍さが伝わると思う。