あかいろのしずく

「はい」


先生は本に目を向けたまま応えた。



「もし、私が、先生のこと。動けないようにしたら、どうしますか」

「それは君が僕を殺すってことですか?」




冗談だとしても、そんな言葉は聞きたくなかった。
誘拐が殺人に繋がるなんておかしい。


私が黙っていると、私の気持ちを汲み取った先生は頷いた。



「そうか。うん、そうですね。僕もこんなことは言いたくないんですよ」

「だったら......」

「でも」



先生が静かに本を閉じる。