あかいろのしずく

この建物、本当に変なところにこだわりがあるな。




部屋を出ると、廊下には椅子が一つあり、先生が二メートルほど先で座って本を読んでいた。



「どうかしましたか」

「あ、いえ、お手洗いに」



私が答えると、先生は「そうですか」と笑った。先生が笑うところ、今まで何回も見たのに、何故か私には、その時先生が安心したように思えた。


安心。......どうしてだろ。


用を足して再び廊下に出ると、先生はまだ同じ場所にいた。


どうせ部屋に戻っても気まずいだけだと思い、私は先生に話しかける。




「先生」